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読んでつくる知の体系

読んだ本、お勧めしたい本を紹介。ノンフィクションが多め。

『生物進化とはなにか? 進化が生んだイビツな僕ら』 伊勢 武史


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生物進化とは何か。

「サルから人間が生まれた」や、「下等な生き物が高尚な生き物になっていくこと」など考えられることは多い。よくあるこういう説明には、実は結構大きく深刻な誤解が含まれている。わかっているようでわかっていない、それが生物進化です。

読み進めていると、生物進化がとても生々しいことに気づきます。進化の産物である僕らが生まれたわけや、進化がまだ進んでいる過程なのか、それとも進化の結果が今の僕らなのか、遠い昔のことではないからです。

 

本書はハーバード大学大学院進化・個体生物学部修了した筆者が、生物進化に大きな影響を与えた、ダーウィンドーキンスの提唱した理論を分かりやすく解説し、自然淘汰や生物のトレード・オフについても書かれた本。とても分かりやすい例えが多く、入門書としても読み始めるのに適している。

 

「獲得形質の遺伝」と「自然淘汰」の説明がわかりやすかったので引用したい。

 

 

キリンの首はなぜ長いのか。ラマルクによると、あるキリンの祖先は、高い木の葉っぱを食べるために頑張って背伸びして、努力した。すると次第に、この一匹の動物の首が少し伸びた。やがてこの一匹に子どもが生まれた。その子の首は少し長かった。努力したこの一匹は、少し首の長い子を持つことに成功した。これが少しずつ積み重なって、やがてキリンは現在のかたちになったのだ。

ダーウィンによると、キリンの祖先に何匹かの子どもがあった。子どもたちは生まれつき、体の特徴に個性をもっていて、ある子は、他のきょうだいより少しだけ首が長かった。別の子は、少し首が短かった。あるとき、この家族が暮らすサバンナが干ばつに見舞われた。ほとんどの草は枯れてしまったが、深い根を持つ高木だけはかろうじて葉っぱをつけていた。たまたま首が長く生まれついていた子は、他のきょうだいたちよりほんのすこし多くの葉っぱを食べることができた。これが生死を分けた。生き残ったこの個体の子は、やはり首が長い形質を受け継いでいった。

 

 

ダーウィンによる自然淘汰と、ラマルクによる獲得形質の遺伝の論争は今でも続いているようだ。ラマルクの説のほうが少し前向きな気がしないでもないが、ダーウィンの説にも納得するところも多い。

生物進化の自然淘汰や適応度が理解できると、自然と宗教や哲学、美術に通づるものがあるなぁと。何かを学んで、それがどこかで繋がっていると感じたときの喜ばしさはとても嬉しい。