読んでつくる知の体系

読んだ本、お勧めしたい本を紹介。ノンフィクションが多め。


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『 森は怪しいワンダーランド』

世界各地の森林を訪ね歩き、いろいろな体験をしてきた筆者。「森林ジャーナリスト」として、森で起きた不思議な体験、仰天した出来事、森に関する怪しい常識や似非科学などなどを、失敗談や与太話を含めて紹介していく一冊。

 

筆者が森林に興味を持ったのは、初めての海外「ボルネオ(マレーシア連邦サバ州)」だ。熱帯雨林に入って、野生のオラウータンを探すという目的を挙げて出発。ところが現地に行くまでにもトラブル続出。残念ながら、オラウータンと遭遇できはしなかったが、木の上の寝床を発見したり、糞を見つけたり、驚く体験もできたという。これで海外の僻地を旅する面白さに目覚めただけでなく、オラウータンから野性動物全般、そして森林生態系に興味を持つようになった。

 

巨大洞窟を探検する話が面白かった。

筆者は学生時代からケイビング(洞窟もぐり)に熱中し、日本全国あちらこちらの洞窟をもぐって歩き、新洞窟の発見も経験している。

”狭い洞窟の中を匍匐前進(ほふくぜんしん)したり、泥の岩をよじ登ったり、ヘルメットが詰まるほどの狭い部分をくぐり抜けて、その奥にある未知の世界にたどり着くことが快感だった。”なかなか体験出来る経験ではないぶん、その快感を想像できないほど。

ビルネオ島の”ニア洞窟”は観光向きに整備された洞窟だ。洞口までのジャングルには木道が敷かれており、たどり着くまで苦労はしない。洞内には4万年前の人類の住居跡が発見されており、周辺は壁画が施されて見学も出来る。ニア洞窟の中でも最大の本洞にたどり着き、洞口に立ったときの迫力は写真以上。洞窟の天井を見上げると、アマツバメかコウモリが群れていて、渦を巻くように飛んでいるのが見える。

「燕の巣を取るために人が登っているよ」とガイドが言ったのを聞いて、天井を見ると動く人影が見える。ニア洞窟で働くといっても、仕事は観光案内だけではない。中華料理の高級食材として高く売れる。なんとリスクのある職業なんだろう。

 

ニアの洞窟を進むと、ときどき頭に袋を乗せた人とすれちがう。袋の中を見せてもらうと、「グアノ」が入っていた。グアノは、海洋島などに蓄積した海鳥の糞が化石化したものを指し、貴重な肥料として使われるらしい。アマツバメやコウモリのような洞窟性の鳥がたくさん棲み、彼らの糞が河内に溜まりグアノとなる。これらの採取は悪くない仕事らしいが、肝心のグアノが猛烈にアンモニア臭がするという。これほど悪臭を放つ物質を、頭上に乗せる勇気には参る。

 

他にも知らなかったことがたくさん書かれている。体験したことが日記のように書かれていたのでとても読み易い本だった。読んだあと、知識の視野も、広大な熱帯雨林のように広がることだろう。

 

 


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