読んでつくる知の体系

読んだ本、お勧めしたい本を紹介。ノンフィクションが多め。


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『視聴率ゼロ! 弱小テレビ局の帯番組『5時に夢中!』の過激で自由な挑戦』

 

 

「キー局の10分の1、NHKの100分の1」そんな言葉で表現されるTOKYO MXは、1995年に開局して以来、視聴率ゼロの道を歩んできた。

 

今回の著者である大川貴史さんは、「新卒1期生」としてMXテレビに入社。野球しかやってこなかった大川さんは、文化的な教養もなく、テレビのことも番組の制作技術もないまま、初めてプロデューサーとして任される「5時に夢中」の番組制作に挑んでいく。

今となっては近畿地方群馬県など、放送エリアが拡大しているが当時のMXは、放送エリアが東京エリアに限られていて、自宅にUHFアンテナをつけていないと見れなかった。しかもバブルの崩壊でスポンサーも離れていく始末。「期待されていない」「誰も見ていない」「お金もない」の三拍子が揃った状態だったが、こうしたマイナスの要素があったからこそ、「独自の番組作り」をすることができたと言う。

 

「5時に夢中」のコメンテーターが個性豊かなのは大川さんの狙いだ。

気分屋で周りとの軋轢が絶えず、でもとてつもない集中力をしめして結果を出す、野球選手なら”ランディ・バース”、プロレス選手なら”ブルーザー・ブロディ”といった”圧倒的な超人”が大好きだった子供の頃。そういった”圧倒的な”人ばかりをコメンテーターとして「5時に夢中」に集めることができた。コラムニスト、株式トレーター、作家、女優、医者、歌手、女装家、ある一つのジャンルを極めた人たちに「多様性」「自虐」「エロ」を真髄として、多様な意見を言い合える環境を整えた。”圧倒的な”人の魂から出てくるコメントは本当に面白い。放送禁止用語ギリギリのコメントや言動も多く、上司や視聴者から怒りのメールが届くこともあるようだが、「後で謝ればいいや」くらいにしか受け止めていないようだ。筆者自身も”圧倒的”なのでは?と疑いたくなる。筆者が章の最後に書かれた言葉を紹介します。

 

 ” 「タブーと戦う」「悪と戦う」みたいな、わかりやすい「過激」ではなく、どの角度からどんな意見が飛び出すかわからない方が、よほど「過激」です。プロデューサーとしては、そんな、多様な意見が飛び出す「過激で自由な空間」を楽しんでもらえると嬉しいです。”

 

望んで就いたわけではないプロデューサーという仕事でも、今日も楽しかったなぁと思える1日にする。周りのスタッフ、出演者、視聴者に必要とされているから、それを実感させられるからこそ、向いていない仕事でも頑張れる。今の若い世代に少しでもこの言葉は響くであろう。

  

 


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